まんしん未來では地元の農家さんが忙しくて手が足りないときに、利用者さん達と農作業のお手伝いをしています。これは農福連携と呼ばれている取り組みで、人手不足の農家さんの作業の一部を切り出してもらって、それを福祉施設側で行うという取り組みです。
農家さんが繁忙期で忙しくて猫の手も借りたいとき、たくさんの単純作業を誰か他の人が担ってくれれば、農業経営者は他の人ができない難しい仕事をする時間を増やせます。
私たちまんしん未來側はネギなどの仕事が少ない時期に仕事の依頼が来るのでとても有り難いです。
こんなハッピーハッピーの関係を築けるのが農福連携の取り組みです。
私がまんしん未來を作った理由は、ここにあります。
そもそも私は地元菊池市の旭志麓地区という農村地帯の専業農家として生産団体発足して40年余り活動し、学びなおしの為、種苗会社に10年働きました。ネギと原木栽培の椎茸を生業としてきましたが、年々増える耕作放棄地や跡継ぎがいなくて離農する農家の話を聞くうちに、「農福連携」で地域の農業課題を解決したいと思うようになりました。
それで種苗会社を退職し、しばらく福祉の現場で働いて経験を積み、2年前に一般社団法人まんしん未來を設立しました。
開所直後はどのようにしたら、地域の方にまんしん未來のことを知っていただくのか右も左も分からないスタートでしたが、各市町村の福祉課や介護保険課、社会福祉協議会、支援学校や相談支援事業所に会報誌を配って、「農林福連携」の取り組みを知っていただきました。
まだ定員には達していませんが、農業の持つ魅力や可能性を少しずつ理解していただいています。
季節ごとに内容は変わりますが、農業は他の内職作業と違って、植物の生命を扱う仕事です。ネギであれば、種をまき、芽が出たら大切に育てて、畑に植え付けます。その後、おいしいネギになるように育てます。
植物は言葉を発しませんが、大切に育てればその気持ちに応えるようにおいしくなります。まんしん未來では自分たち育てたネギを収穫して、実際に焼いて食べる機会もあります。
自分が種から育てた野菜を収穫し、調理して食べるという体験はとても貴重で、土に触れる生き方をすることは心身のリハビリにもなります。
農業は3K(きつい・危険・きたない)と呼ばれて今まで敬遠されてきた仕事ですが、今ではICTの活用や、エビデンスに基づいた科学的な農業が発達したので、3Kの意味も変わってきて、「きれい・かっこいい・可愛い」とか「きれい・かっこいい・稼げる」仕事だと見直されるようになり、都会の暮らしに疲れた人たちや安心安全な食物を食べたいと考えるようになった人たちが地方に移住して、新規就農するという人たちも増えてきています。
まんしん未來でも作業ハウスで快適に作業できるようにしていますので、今までの農業のイメージとはかなり違います。
そんな農業の魅力がつまったまんしん未來の農林福連携のめざすところは、まんしん未來に関わる人たち全てが農業や林業で元気になり、高齢化や過疎化に負けない持続可能な地域づくりを実現することです。
まだまだ始まったばかりの活動ですが、若年性認知症の方の受け入れや支援学校からの受け入れなども積極的に行っています。
私たちの農林福連携に興味を持たれた方は、ぜひ見学や体験に参加してみませんか。
心も身体も元気にしてくれるという農林業の魅力をきっと分かっていただけると思います。
代表理事 工藤 満雄